中之条ビエンナーレ2017
日帰りバスツアー(土日祝日限定)
~ 2017年10月9日
豊かな自然や歴史ある温泉街、ノスタルジー溢れる木造校舎などを舞台に、町内各所で総勢130組を超えるアーティストによるパフォーマンス、ワークショップ、マルシェが開催されます。
町中におかれた鑑賞ポイントを効率よく巡るツアーです。
ツアー番号
2017207
2017208
終了しました
Artist Interview
@イサマムラ
ここでは一つの作品に
じっくり時間をかけられるのも
魅力なんです。
1日で仕上げるものを
ゆっくり三日で仕上げるとか。
人見 将(ひとみ まさる)さん
写真家
ーこれまではどのような作品を制作されてこられたのでしょうか?
「銀塩写真の質感が好きで、『フォトグラム』という表現技法を専攻してきました。フォトグラムは、通常の撮影のようにどこかへ出向いて撮影をせず、印画紙の上に直接物を置いて感光させる技法です。今回出展する作品はこのアトリエ「イサマムラ写真室」そのもので、フィルムなど銀塩写真の撮影機材を使ったものになると思います」
ー展示会場はどのように選ばれたのでしょうか?
「皆さんにも様々な写真技法を体験してもらおうと思い、旧伊参小学校の理科準備室を暗室に改造し、イサマムラ写真室として解放することにしました。ここにある機材は、全国の写真家の方々が寄贈してくれたもので、どれも買ったら高価なものばかりなんです。デジタルが主流になってからは銀塩プリントを辞めた方が結構いらっしゃるんですけど、やっぱり愛着があるからか、みんな(機材を)手元に持っていたんですね」
ー作品作りのために中之条に移住されたとお聞きしました。
「中之条への最初のアプローチは、前回のビエンナーレでした。埼玉にいた頃は、働きながら空き時間に制作することの繰り返しだったのですが、そのとき初めて静かな集中できる環境で1ヶ月間途切れることなく制作を続けられたんです。その経験が忘れられず、村上さんという中之条の移住コーディネーターに移住の相談をしたことがきっかけでした」
ー中之条に来て、実際に作家として影響を受けたところはありましたか?
「農作物であったり、料理であったり、ここに暮らす皆さんは、自分でものを「作る」ということが当たり前なんですね。ほら、コンビニもスーパーもなかなか買いにいけないでしょう? 僕も住まいがちょっと上の山の中にあるんですけど、買い物に行こうとするだけで、町まで下りなきゃいけないんですから。買う以外の努力っていうのは、都会に住んでいるとできないことなので、作ることへの意識の高さにはとても影響を受けています」
ー永住を考えていますか?
「そうですね、ひとまずご厄介になろうかと。どこまでいっても、僕はやっぱり作品を作りたいという人間なので、この土地っていうのは、そういう人に向いているのかなと。一つの作品にじっくり時間をかけられるのも魅力なんです。1日で仕上げるものをゆっくり三日で仕上げるとか。贅沢ですよね」
Artist Interview
@沢渡温泉ギャラリー
東京では小さく細ぎれだった
作品のイメージが、
沢渡に来てだんだんと広く、
色彩も豊かになりました
Arthur Huang(アーサー・ファン)さん
アメリカ出身/コンセプチュアル・アーティスト
ーここに展示されている作品は、どうやって生まれたのでしょうか。
「2017年1月1日から今日まで(取材日は7月3日)、ほとんど毎日一枚、欠かさずドローイングを描き続けてきました。通勤の電車内で描くこともあれば、アトリエで描くこともあります。何も考えずに描き始め、そこで何かが生まれての繰り返しですね。そうすると、色や形に様々なバリエーションが生まれるんです」
ー沢渡ではどのような作業をされているのか教えてください。
「現在は使われていない建物の広さを利用して、一枚一枚の作品を地面に並べて眺めることで、そこに新しい法則を見出し、壁に展示していくといった作業を続けています」
ー地面にある作品に目を惹かれました。これはどのような作品なのでしょうか。
「日々のドローイングを一枚一枚スキャンします。ドローイングをインクジェット印刷して丸形に切ります。一枚一枚印刷したものを2枚のアクリルディスクに挟んで、白い製本テープで巻きます。この『線描の細胞』をアクリルパイプに乗せて、沢渡ギャラリーの床に設置します。パイプの長さは曜日ごとに高さを変えているんです。一番高いものが日曜日、次が土曜日と、だんだん低くなるように。直径も三種類あります。一月と二月は9cm、三月と四月は10cm……といった具合ですね」
ー壁にもずいぶんとたくさんの作品がありますね。
「壁の作品がインスタレーションの暫定レイアウトです。5月中旬から二週間ずつ沢渡ギャラリーで制作しています。中之条で描いたドローイング30点は、額に入れて壁にかけます。壁に貼られているドローイングは沢渡で描いたものです。自然の中で描き始めると、東京とのちがいを感じますね。東京では細かく小さなイメージだったものが、沢渡に来てだんだんと広く、色彩も豊かになっていきました」
ービエンナーレ当日の展示がとても楽しみになってきました。アーサーさんから見て、沢渡の魅力を一言で言い表すとしたらどんなところでしょうか?
「とにかくたくさんの温泉がありますね。街の方に紹介してもらい、色々なところに行きました。それに自然が豊かで、とても静かなところが気に入っています。集中して作品をつくるには、とても良い環境だと思います。住んでいる地元の人やビエンナーレのスタッフも、いつもサポートをしてくれたり、人の優しさを直接感じることができますし。私もビエンナーレを今からすごく楽しみにしているんです」